2022年に読んだ本③【ミステリー×5、SF、ハードボイルド等】

 第3弾。読んだ本の記録です。新作とか関係なく最近読んだ8冊の感想を書き残しているだけですが、本屋や図書館みたいに知らない本や興味のないジャンルの本に出合うきっかけになるかもしれないですよね。そんな気持ちで眺めていってください。

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『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午

 思いついた謎をネット上の仲間に解いてもらうため、実際に殺人を実行していく推理ゲームを描く。いくつかの事件が順に出てきてその謎を解いていく短編集のような構成になっています。なるほど!と思うトリックもあれば、10秒で考えたようなしょうもないものもありますが、良い意味で様々な謎解きを楽しむことができます。この前読んだ『匣の中の失楽』が堅めの文章だったのに対し、こちらはネット民らしいアホな会話がちょくちょく差し挟まれていたので、さくさく読めました。軽い文章でも、プロットはきっちり本格ミステリーなのでご安心を。

 

『密室殺人ゲーム2.0』歌野晶午

 Kindle Unlimitedでこちらも読み放題だったので続けて読みました。これまた様々なアリバイトリックと密室トリックが開陳されています。最後の事件のトリックはすぐにわかってしまったり、見覚えのあるトリックがあったりもしますが、前作から続けて読んだことでプラスアルファの驚きが得られたところもありました。ネット民のアホな会話が主ではあっても、本当の2チャンネルやツイッターみたいなアホさや下品さはなくて、適度に軽くて読みやすい文章になっているのは上手いですね。だから、こんなに読めてしまいます。

 

『密室殺人ゲームマニアックス』歌野晶午

 第3弾です。これでおしまいです。今回は短めで、230ページしかありません。でも、ちゃんとトリックがあります。密室トリックは、いずれも実現可能かどうか怪しいものでしたが、そもそも犯人たちも「推理小説みたいな奇抜なトリックで殺そう」と思ってやっているので、一応説得力はあるんですよね。3作とも面白かったです。

 

『星降り山荘の殺人』倉知淳

 嫌な人物しか出てこないなぁ、色々わざとらしくて気に入らないなぁ、とぶつぶつ思いながら9割ぐらい読み進めていいました。しかし、最後の1割で印象は180度変わりました。すっかり騙されてしまいました。素晴らしい。辛抱強く読んだ価値はありました。

 

『深夜プラス1』ギャビン・ライアル

 冒険アクション小説の名作と言われている小説です。話はシンプル。主人公が要人を護送する仕事を引き受け、数多の敵の追跡をかわしながらフランスからルクセンブルクまで移動する任務に挑みます。ハードボイルドな冒険小説など読んだのは初めてでしたが、頭の中で上手い具合にアクションシーンを組み立てられると面白いですね。自分は映画を結構観ているので、ここは『ボーン・アイデンティティー』のあのシーンで、ここは『フレンチ・コネクション』のあの場面みたいな感じで、とか考えながら読んでいました。

 

『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ

 『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で知られる知識人のハラリが、現代の人類の21の問題を解説する本です。AIとバイオテクノロジーの急速な発展により、人類はこれまでに経験したことがないような数々の危機に直面するだろうと主張しています。21もの課題を示されるとさすがに人類の将来に対して悲観的すぎないかと思ったのですが、今年に入って実際にロシアが侵略戦争を起こし、日本ではある要人をターゲットにしたテロ攻撃が起こり、さらに宗教と政治の深すぎる繋がりが暴かれつつあることを考えると、妥当な主張かもしれません。人類のそう遠くない将来について考えてみるのも良いのではないでしょうか。

 

『御手洗潔のメロディ』島田荘司

 名探偵・御手洗潔シリーズの短編4つが収められた短編集。2つは本格ミステリー、2つは御手洗潔やレオナ松崎にまつわる出来事を描いた小説です。後者は、キャラクターが好きな人なら楽しめると思います。ミステリーの2編はどちらも不可解な日常の現象から大きな犯罪を明らかにするというプロットになっています。出来はそこそこ。御手洗潔ファンだったらおすすめ。

 

『アルテミス』アンディ・ウィアー

 ハリウッド映画化もされた『火星の人』(映画化名『オデッセイ』)のアンデ・ウィアーの第2作です。最近は、第3作の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が話題ですが、あえてこっちを読みました。2000人ほどが住む月面基地での冒険の話といった感じ。科学的にはもの凄く正確で、その点はとても良かったです。ただし、翻訳はかなり違和感を感じました。現代の若い女性っぽさを出そうとしているのかわかりませんが、地の文は無理に軽妙にしようとしていて、逆に会話文は「~だわ」など誰も使わない女性っぽい言い回しになっています。翻訳に文句を言うぐらいなら、原文を読んだ方が良いということですかね。

 

 この8冊の中で一番のおすすめは『星降り山荘の殺人』。何も言わないので、とりあえず最後まで読んでください。『密室殺人ゲーム』3部作もよくできた本格ミステリー短編集みたいなものなので、サクッとミステリーを読みたいときにはぜひ。

 

おしまい

 

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