創元推理文庫のおすすめ国内本格ミステリ作家&作品8選|まずはここから!定番ミステリー

 1980年代後半以降の日本の新本格ミステリーブームを講談社とともに盛り上げた東京創元社。創元推理文庫には、国内ミステリーに限定しても、数多くの名作が含まれています。今回は創元推理文庫で刊行されている国内本格ミステリーの定番8作品を紹介します。

 

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鮎川哲也『黒いトランク』

戦後の国内ミステリー界の巨匠・鮎川哲也の実質的なデビュー作。トランクの中に死体が詰め込まれて入れ替わったりする話。地図や時刻表を用いたアリバイトリックがメインになっている。鬼貫警部の捜査過程が緻密すぎて内容を理解するのに苦労するが、極端なまでの推理のロジックへのこだわりは後の日本の本格ミステリーに大きな影響を与えた。

 

泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』

奇術師でもある推理作家の泡坂妻夫。亜愛一朗という名前は、名探偵を五十音順に並べたときに一番最初に来るように名付けられた。亜愛一朗が登場する3つの短編集は遊び心に満ちており、ユーモラスな味わいが印象的な素晴らしい作品ばかり。

 

笠井潔『バイバイ、エンジェル』

哲学者フッサールが提唱した現象論を駆使して真相を明らかにする探偵・矢吹駆の初登場作。1970年代のパリを舞台に首切り殺人事件に挑む。難解や哲学や世界史の理論が繰り広げられ、そこから「首切り」の本質を導くという独特なアプローチを取っている。衒学趣味に依りすぎているきらいはあるが、そのおかげで他にはない独特な読み心地を与えている。

 

有栖川有栖『月光ゲーム』

エラリー・クイーンの後継者たる有栖川有栖のデビュー作。大学のミステリ研のメンバーが火山の噴火によって孤島に閉じ込められ、連続殺人事件が始まる。本作から始まる探偵・江上二郎シリーズは、2作目『孤島パズル』、3作目『双頭の悪魔』、4作目『女王国の城』がいずれも非常に高く評価されている。

 

折原一『倒錯のロンド』

「叙述トリックの名手」こと折原一のデビュー作。新人賞に応募するための原稿が盗まれてしまったことから事件は思いがけない方向に進んでいく。この作品自体、江戸川乱歩賞に応募されたものなので、とてもメタ的な構造になっている。虚構と現実が入り交じる不思議な感触が存分に味わえる。

 

青崎有吾『体育館の殺人』

実質的な密室状態になっていた高校の体育館で生徒が殺される学園ミステリー。キャラクターはラノベっぽくてふざけているが、ミステリーとしてはいたって正統派の本格。ヲタク高校生探偵の推理が光る。

 

今村昌弘『屍人荘の殺人』

山中の屋敷に集まった大学生が次々と殺される典型的な「館もの」かと思いきや、予想外の○○○が登場する新感覚ミステリー。設定は奇抜だが、ロジックはちゃんとしており、本格ミステリ大賞などで4冠を達成した話題作。これぞ21世紀の本格。

 

市川憂人『ジェリーフィッシュは凍らない』

ジェリーフィッシュと呼ばれる気球で起きた連続殺人事件が描かれる。21世紀版『そして誰もいなくなった』と評されることが多いが、むしろ21世紀版『十角館の殺人』と呼ぶ方が的確。本格ミステリーの王道を行くロジックとトリックが持ち味になっている。

 

まとめ

 以上、創元推理文庫の国内本格ミステリー8作品を紹介しました。創元推理文庫というと海外ミステリーに強い印象ですが、国内に限っても有栖川有栖や笠井潔、最近では今村昌弘のような人気作家の作品が数多く出版されています。気になったものがあれば、ぜひご一読を。