講談社文庫のおすすめ新本格系推理作家&小説10選|まずはここから!絶対に読んでおきたい定番ミステリー

 日本では、1987年に綾辻行人の『十角館の殺人』が刊行されて以来、ずっと本格ミステリーは人気ジャンルです。新本格ミステリーの時代はすでに終わったとされていますが、それ以降も本格ミステリーの作家や作品は生まれ続けているので、完全に文化として定着した感じがあります。

 

 今回は、そんな新本格ミステリーを中心に、講談社文庫のおすすめ作品を10本選んでみました。いずれも超定番作品ばかりです。ちなみに、あえて講談社文庫に限定したのは、出版社別の方が書店で探すときに便利だからです。

 

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島田荘司『占星術殺人事件』

 島田荘司は、天才探偵・御手洗潔が登場する処女作の『占星術殺人事件』と2作目の『斜め屋敷の犯罪』が特に人気です。いずれも奇妙奇天烈な犯罪が繰り広げられ、最後に衝撃の真相が明らかになります。個人的には『暗闇坂の人食いの木』や『ネジ式ザゼツキー』も好きですが、まず薦めるなら『占星術殺人事件』から。島田作品らしい、ファンタジー的な世界観の裏にある現実の論理が暴き出される展開に驚かされます。

 

綾辻行人『十角館の殺人』

 綾辻行人の『十角館の殺人』から日本の新本格ブームは始まりました。この作品の評価は揺るぎないもので、もし現代のミステリーファンの間で投票を行ったらきっと1位になるでしょう。アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』などの古典作品に多大なるオマージュを捧げながら、ミステリーの新時代を切り開いた画期的作品。

 

京極夏彦『魍魎の匣』

 京極夏彦作品はとにかく長いので、最初はなかなか手が出ないかもしれません。でも、一度読み始めてしまうと、するすると読めてしまう圧倒的な読みやすさがあります。おすすめは、百鬼夜行シリーズの2作目の『魍魎の匣』(もうりょうのはこ)。少女の自殺未遂やバラバラ殺人など、様々な事件が入り乱れる中、陰陽師の中善寺明彦が独自の手法で世の中に秩序を取り戻します。

 

森博嗣『すべてがFになる』

 理系ミステリィといえば森博嗣。今でこそ理系ミステリはそれなりに大きなジャンルになっていますが、理系作家による理系用語盛り沢山で理系の登場人物ばかりが登場するミステリはこれが最初。講談社が主催するメフィスト賞は、そもそも『すべてがFになる』をデビューさせるために創設されたと言われているほど。斜め上の発想に恐れ入ります。

 

辻村深月『冷たい校舎の時間は止まる』

 新本格は、青春ミステリーであると言われることがあります。メフィスト賞を受賞した『冷たい校舎の時間は止まる』は、まさにそんな青春ミステリーの潮流を受け継ぐ作品です。後に直木賞も受賞することになる辻村深月の作品は、ミステリーファン以外からも人気が高い。

 

西澤保彦『七回死んだ男』

 特殊設定ミステリーを得意とする西澤保彦。『七回死んだ男』は、タイムループものです。最近、特に映画界でタイムループものが量産されているので、設定に目新しさはないかもしれませんが、そこから繰り出されるトリックは斬新なもの。加えて、お家騒動を扱ったコメディとしても、とても笑える作品になっています。

 

我孫子武丸『殺戮にいたる病』

 人気がある作品ですが、私はそう迂闊にこの作品をおすすめしたいとは思いません。なぜなら、あまりにも気持ち悪いから。殺人犯の心理を描写する場面がかなり多いのですが、その生理的な気持ち悪さは半端ではありません。もし、それを耐えられるというのであれば、最後の数ページはご褒美のようなものです。

 

麻耶雄嵩『神様ゲーム』

 問題作しか書かない麻耶雄嵩。基本的に、麻耶雄嵩作品は、既存の本格ミステリーに対するアンチテーゼ的な傾向を持っているので、あまり初心者に薦めるべきではないのかもしれませんが、それでもこの捻くれた味わいを楽しんでみたいというのであれば『神様ゲーム』がおすすめ。少年少女向けの「ミステリーランド」という企画の一つとして発表された作品ですが、その衝撃はトラウマ級。

 

殊能将之『ハサミ男』

 白状します。私は、まだ『ハサミ男』を読んでいません。でも、あまりにも色々なところでおすすめされているので、ここにも入れておきました。きっと面白いのでしょう。ちなみに、ジョニー・デップの映画『シザーハンズ』とは何の関係もありません。

 

周木律『眼球堂の殺人』

 理系ミステリーの後継者であり、館ものの後継者でもある周木律。処女作『眼球堂の殺人』は、球形の建物を舞台に起こった殺人事件の話。とんでもない大トリックが炸裂します。天才数学者が探偵役を務める、新本格風味に満ちた作品。

 

まとめ

 講談社文庫はミステリー作品が非常に多いので、紹介していたらキリがないですが、定番の10作ならこのあたりになるかと思います。気になるものがあったら、ぜひ読んでみてください。

 

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