2022年に読んだ本④【SF×3、ミステリー×2、その他×3】

 第4弾。読んだ本の記録の2022年最終号です。新作とか関係なく最近読んだ8冊の感想を書き残しているだけですが、本屋や図書館みたいに知らない本や興味のないジャンルの本に出合うきっかけになるかもしれません。そんな気持ちで眺めていってください。

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『流れよ我が涙、と警官は言った』フィリップ・K・ディック

 この前『アンドロイドは電気羊を夢を見るか』を読んで以来、P・K・ディックのファンになりつつあります。これは、テレビの有名人が、突然全く無名の存在になってしまう物語。無名どころか、親しかったはずの人たちでさえ主人公のことを知りません。自分は大抵の場合、ストーリーが面白いかどうかでしか小説を評価しないのですが、P・K・ディックの場合は、ストーリーは大したことなくても読んでるだけで気分が満たされます。これが、文学ということか。

 

『バナナの魅力を100文字で伝えてください』柿内尚文

 Kindle Unlimitedに入っていたので、タイトルにつられて読んでみました。効果的な「伝え方」に関する本です。なんとなく知っているようなことばかり書いてありましたが、こうやって整理されているとわかりやすかったりするんですかね。自分も一応、ブログという形で不特定多数の方を対象とした長文を書いているので、幅広い人に要領よく伝わるようにするのは重要だなと日々感じています。

 

『体育館の殺人』青崎有吾

 高校の体育館で密室殺人が起こる話です。一昨日読んだばかりなのに、もうトリックを忘れてしまいましたが、密室物は大体そうです。でも、ちゃんとよくできたミステリーの佳作だと思います。ただ、アニメ好きの高校生探偵というキャラは、どうも個人的に好きではない。アニメオタクが嫌いなんですよ。「美少女だ~!わ~い!」というノリが気持ち悪すぎて、生理的に無理。日本に住んでいる以上、嫌いだからといって完全に避けられるものでもないんですが、それでも嫌いなものは嫌い。

 

『殺しへのライン』アンソニー・ホロヴィッツ

 各種ミステリランキングを4年連続完全制覇しているアンソニー・ホロヴィッツの新作です。今度は、田舎の小さな島を舞台に、クセの強い人たちが登場します。ついに探偵ホーソーンの謎めいた過去にも迫っていきます。大きなトリックはないものの、後半に畳みかけるように明かされる意外な真相の数々はさすが。最終的には、すべてのキャラクターの印象が変わって見えてきます。このレベルのミステリーを年1冊ペースで完成させていく力量にあっぱれ。

 

『ユービック』フィリップ・K・ディック

 またしてもP・K・ディックです。面白いんですもん。今度は、身の回りの事物が急速に古いものになっていってしまう世界が登場します。登場人物たち以上に世界観の躍動感が激しく、どんどん読んでしまいます。めちゃくちゃな世界なのに、きっちりスリリングな展開になっているのは、SF作家の技術なんですかね。凄いです。

 

『奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語』三崎律日

 面白かったですね。昔はまともに信じられていた本でも、今では誰も信じないようなトンデモ本になっていたり、逆もあったりするわけですから。価値観は変わるものです。高温超電導の事件は少しだけ聞いたことがあったのですが、この本で一連の経緯をざっくり知ることができたのも良い機会でした。

 

『ウィリアム・ギブソン エイリアン3』パット・カディガン

 あの映画『エイリアン』シリーズの第3作の脚本家として元々指名されていたのは、SF作家のウィリアム・ギブソンでした。色々あって実際にはその脚本は映画化されなかったのですが、このような形でノベライズが出版されました。『エイリアン2』よりもさらにスケールアップして繰り広げられるゼノモーフたちの殺戮劇は壮絶でした。絶望的すぎる状況から主人公たちが脱出していくストーリーは、ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作の3作目『死霊のえじき』に近いものも感じました。これが本当に映像化されていたら、本物の『エイリアン3』より面白かっただろうに。

 

『量子力学の諸解釈:パラドクスをいかにして解消するか』白井仁人

 量子力学は微小世界がどのような法則に支配されているかを理解するのには役立ちますが、実際にそれがどのようなものであるかについては関知していません。それゆえ、コペンハーゲン解釈や多世界解釈など、微小世界に関する様々な仮説・解釈が提案されています。それを物理をやっている人に対してわかりやすくまとめたのがこの本です。量子力学の解釈問題は物理というより哲学っぽい話なので、実は理解していなくても量子力学を学ぶ上では何の問題もありません。でも、ちょっとしたロマンはありますね。

 

 以上。2022年に読んだ本は合計34冊。もう少し読みたかったですね。とりあえず積読している本もたくさんあるので、まずはここから読んでいこうと思います。

2022年に読んだ本①【ミステリー×8、行動経済学、SF】 - 第三のブログ

2022年に読んだ本②【ミステリー×5、SF×2、ウーバー】 - 第三のブログ

2022年に読んだ本③【ミステリー×5、SF、ハードボイルド等】 - 第三のブログ