TIME誌が選ぶ史上最高のミステリー&スリラー小説100選|日本から選ばれた6冊の推理小説とは?

 2023年10月3日、TIMEのWeb版でTHE 100 BEST MYSTERY AND THRILLER BOOKS OF ALL TIME(史上最高のミステリー&スリラー小説100選)というリストが公開されました。この記事では、その100選を紹介します。

参照記事:The 100 Best Mystery and Thriller Books of All Time | TIME

 

『白衣の女』ウィルキー・コリンズ

『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー

『リーヴェンワース事件』アンナ・キャサリン・グリーン

『ねじの回転』ヘンリー・ジェームズ

『バスカヴィル家の犬』アーサー・コナン・ドイル

『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー

『The Crime at Black Dudley』マージェリー・アリンガム

『夜間病棟』ミニオン・G・エバハート

『マルタの鷹』ダシール・ハメット

『The Conjure-man Dies』ルドルフ・フィッシャー

『アレン警部登場』ナイオ・マーシュ

『学寮祭の夜』ドロシー・L・セイヤーズ

『三つの棺』ジョン・ディクスン・カー

『レベッカ』ダフネ・デュ・モーリエ

『ディミトリオスの棺』エリック・アンブラー

『殺人保険』ジェームズ・M・ケイン

『わめいたら放してやれ』チェスター・B・ハイムズ

『孤独な場所で』ドロシー・B・ヒューズ

『時の娘』ジョセフィン・テイ

『死の月』シャーロット・ジェイ

『カジノ・ロワイヤル』イアン・フレミング

『死の接吻』アイラ・レヴィン

『長いお別れ』レイモンド・チャンドラー

『狙った獣』マーガレット・ミラー

『物静かなアメリカ人』グレアム・グリーン

『太陽がいっぱい』パトリシア・ハイスミス

『ずっとお城で暮らしている』シャーリイ・ジャクスン

『寒い国から来たスパイ』ジョン・ル・カレ

『本陣殺人事件』横溝正史

『子供たちはどこにいる』メアリー・H・ヒギンズ

『シャイニング』スティーヴン・キング

『さらば甘き口づけ』ジェイムズ・クラムリー

『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ

『レッドオクトーバーを追え』トム・クランシー

『死と抱擁』バーバラ・ヴァイン

『十角館の殺人』綾辻行人

『羊たちの沈黙』トマス・ハリス

『ブルー・ドレスの女』ウォルター・モズリイ

『Mean Spirit』リンダ・ホーガン

『検屍官』パトリシア・コーンウェル

『殺人者の顔』ヘニング・マンケル

『Dead Time』Elenor Taylor Bland

『シークレット・ヒストリー』ドナ・タート

『スミラの雪の感覚』ペーター・ホゥ

『When Death Comes Stealing』ヴァレリー・ウィルソン・ウェズリィ

『カムバック・ヒーロー』ハーラン・コーベン

『キリング・フロアー』リー・チャイルド

『レディ・ジョーカー』高村薫

『Morituri』ヤスミナ・カドラ

『OUT』桐野夏生

『エンジェル・シティ・ブルース』ポーラ・L・ウッズ

『処刑の方程式』ヴァル・マクダーミド

『Those Bones Are Not My Child』Toni Cade Bambara

『Blanche Passes Go』Barbara Neely

『上海の紅い死』ジョー・シャーロン

『コマドリの賭け』ジョー・ネスボ

『ミスティック・リバー』デニス・ルヘイン

『風の影』カルロス・ルイス・サフォン

『外科医』テス・ジェリッツェン

『オーシャン・パークの帝王』スティーヴン・L・カーター

『荊の城』サラ・ウォーターズ

『氷姫』カミラ・レックバリ

『2666』ロベルト・ボラーニョ

『探偵ブロディの事件ファイル』ケイト・アトキンソン

『容疑者Xの献身』東野圭吾

『ドラゴンタトゥーの女』スティーグ・ラーソン

『リンカーン弁護士』マイクル・コナリー

『スネークスキン三味線』ナオミ・ヒラハラ

『暗黒街の女』ミーガン・アボット

『女たちの真実』ローラ・リップマン

『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン

『Drive Your Plow Over the Bones of the Dead』オルガ・トカルチュク

『Wife of the Gods』Kwei Quartey

『Burn Your Dead』ルイーズ・ペニー

『葬送の庭』タナ・フレンチ

『設計者』キム・オンス

『物が落ちる音』フアン・ガブリエル・バスケス

『ゴーン・ガール』ギリアン・フリン

『丸い家』ルイーズ・アードリック

『64(ロクヨン)』横山秀夫

『ありふれた祈り』ウィリアム・K・クルーガー

『ささやかで大きな嘘』リアーン・モリアーティ

『秘密にしていたこと』セレステ・イング

『Land of Shadows』レイチェル・ハウゼル・ホール

『The Sympathizer』Vien Thanh Nguyen

『ブルーバード、ブルーバード』アッティカ・ロック

『Hollywood Homicide』Kellye Garrett

『マイ・シスター、シリアルキラー』オインカン・ブレイスウェイト

『ボンベイ、マラバーヒルの未亡人たち』スジャータ・マッシー

『ミラクル・クリーク』アンジー・キム

『The Need』Helen Phillips

『The Other Americans』Laila Lalami

『The Turn of the Key』Ruth Ware

『復讐の家』ステフ・チャ

『暗き荒野の果て』S・A・コスビー

『Djinn Patrol on the Purple Line』Deepa Anappara

『メキシカン・ゴシック』シルヴィア・モレノ=ガルシア

『ブルックリンの死』アリッサ・コール

『Winter Counts』David Heska Wanbi Weiden

『Survivor’s Guilt』Robyn Gigl

 

 かなり意外な100選になっていました。日本とアメリカでは推理小説に対する好みが全然違うのは知っていましたが、ここまで知らない作品や作家の名前ばかりが上がるとは思いませんでした。ドストエフスキーの『罪と罰』も含めるんだという感じです。

 

 ざっくり見ただけでも、女性作家の名前が非常に多く挙がっています。また、これはアメリカの人たちが作ったリストなのでアメリカ人が多いのは当然ですが、その中でも非白人系のアメリカ人からもかなり多く選ばれているのがわかります。

 

 日本からは、横溝正史の『本陣殺人事件』、綾辻行人の『十角館の殺人』、高村薫の『レディ・ジョーカー』、桐野夏生の『OUT』、東野圭吾の『容疑者Xの献身』、横山秀夫の『64(ロクヨン)』の6冊が選ばれています。どれも超名作なので、納得のチョイスではないでしょうか。

 

 エドガ・アラン・ポーとエラリー・クイーンが選ばれていないのは意外でした。アメリカでは、あまりポーが探偵小説の元祖とは見なされていないんですかね。クイーンは、日本の本格好きからは徹底した論理詰めのプロットが絶賛されていますが、アメリカではそこまで評価されていないのでしょうか。小説としての読みどころが少ないせいかもしれません(だったら、ライツヴィルものでも選べば良いのに)。

 

 そう考えると、綾辻行人の『十角館の殺人』が選ばれているのは、なおさら凄いことのような気がします。なにしろ、ポウもエラリイもヴァンもルルウもオルツィも選ばれていない中で、アヤツジは選ばれたわけですから。