アメリカやイギリスの映画・ドラマが好きでよく観るんです。その中に出てくる英語の中には、学校では教えてくれないものがあります。スラングです。英語圏の国に育っていれば自然と覚えてしまう言葉なのですが、私たちのような非ネイティブは映像作品などで初めて聞くことになる言葉です。
非ネイティブがそれらの言葉を使えるようになる必要はないのですが、理解はしておいて良いと思うのです。一つには、それらの言葉の意味をろくに知らずに使ってしまうことがないようにするため。もう一つには、スラングを知っていた方が映画・ドラマがより楽しめるようになるからです。
ということで、今回は学校では絶対に教えてくれないけど、映画やドラマではよく耳にするスラングをいくつか紹介していきます。
fuck
この世で一番使われている英語のスラングです。どんな場面でも、何か都合が悪いことが起こったらFuck!と叫びます。喜んだときにもFuck, yeah!と言うことがあります。とりあえず気分が高まってきたらfuckと言います。ただし、元々の意味はセックスをすること。一般にFuck you!と言うときは相手を罵っているときですが、言い方によってはI want to fuck you.のように相手をセックスに誘う場面で使われることもあります。
fuck up:~をぶち壊す、めちゃくちゃにしてしまう
fuck off:どっか行ってろ
Go fuck yourself!:どっか行け!くたばれ!
motherfucker:クソ野郎
性交に関する動詞としては、shag(セックスする)も使われます。もう少しソフトな表現としては、get laidを使うことができます。また、make outはセックスに限らずディープキスなども含めて幅広く「いちゃつく」という意味で使われます。
使用例
映画『オースティン・パワーズ:デラックス』の原題は、Austin Powers: The Spy Who Shagged Me。007シリーズ10作目『007/私を愛したスパイ』の原題The Spy Who Loved Meをもじったタイトルになっている。
shit
これも、非常によく使われるスラングです。元々の意味は「大便」。日本語でも「クソッ!」と言うことはよくありますが、それとだいたい同じようにスラングとしても使われています。No.2という単語も「うんち」という意味があり、これは主に小学生など子供が使います。
なお「小便」は、pissです。医療用語としては、urineという言葉が使われます。また、piss offと言うときは「(人を)いらつかせる」あるいは「どっか行け!」という意味です。
pussy
これは「女性器」を意味する言葉ですが、男性に対して使われるときには「腰抜け」といった意味になります。また、それとは別に「猫ちゃん」という意味で、主に子供が使うことがあります。とはいえ誤解される可能性があるので、猫を可愛がって呼ぶならkittyやkitty catを使うのが安全策でしょう。
cuntも同じく「女性器」を意味し、どちらかというと女性をけなすときに使われることが多い言葉です。twatも同じ意味で、主にイギリス英語で使われます。
dick
今度は「男性器」です。ただし、人名のRichardや「刑事・探偵」を意味するdetectiveの愛称として使われることもあります。cockも同じく「男性器」を意味しますが、それとは別に「おんどり」という意味もあります。「おんどり」を表すときには、roosterという単語を使うこともできます。
人のことをdickと言うときは「嫌な男」という意味になります。prickも同じく男性器を意味し、人に対して使うときは「嫌な男」を意味します。
なお、「女性器」を表すvaginaと「男性器」を意味するpenisは医療用語なので、必要なときは言っても大丈夫です。映画『(500)日のサマー』では、サマーが公園で「PENIS!!!」と叫んでいましたから。
ball
ballは当然ながら「球」という意味がありますが、日本語のタマと同じように「睾丸」すなわち「金玉」の意味もあります。転じて「度胸」を意味することもあります。You have balls.と言うときは「度胸があるな」となります。主語は、男性でも女性でも構いません。なお、We had a ball.などのようにhave a ballとすると「大いに楽しむ」という意味になります。医療用語で「睾丸」はtesticleです。
bitch
元々の意味は「雌犬」ですが、「あばずれ女」という意味でも使われます。主に、性格が悪い女性に対して使われる言葉ですが、男性に対しても使われることがあります。親しい女性同士の場合は、互いを呼び合うときに使われることがあります。
なお、カタカナ英語の「ビッチ」は性的にふしだらな女性に対して使われますが、英語のbitchにはそのような意味はありません。また、bitchを動詞として使えば「愚痴をこぼす」を意味し、これはそれほど悪い意味ではありません。
性的にふしだらな女性を意味する言葉なら、slutがよく使われます。または「売春婦」を意味するwhoreやhookerも使われます。これらは、ニュースなどではprostituteという単語が使われます。近年は「性的なサービスを提供する人」のことを幅広くsex workerと言います。
jerk
これは「嫌な奴」を意味します。jerk offと動詞で使うときは「オナニーする」という意味になり、そこから派生してjerk-offと名詞で使うときも「嫌な奴」を意味します。
イギリス英語では、wankが「オナニーする」という意味の動詞で、wankerが名詞で「オナニーする人」から派生して「ろくでなし」を意味します。tosserもwankerと同じ意味です。
suck
元々は「~を吸う」を意味しますが、That sucks!などの場合は「最悪!」といった意味になります。さらに、下品な意味ならば「フェラをする」という意味にもなります。Suck my dick.とは「俺のをフェラしろ」という意味になりますが、転じて「クソ野郎」と罵るときも使われます。
bastard
結婚していない男女の間に生まれた「非嫡出子」を意味します。ただし、この用法では近年はあまり使われず、「嫌な奴」という意味で使われることの方が多いです。You bastard!は「クソ野郎!」を意味する慣用表現です。
使用例
近年は「非嫡出子」を意味する場面でbastardは使われないと言いましたが、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に関しては例外です。主人公のジョン・スノウは非嫡出子なので、bastardと呼ばれます。同じく非嫡出子であるラムジー・ボルトンとの対決を描いたシーズン6第9話「落とし子の戦い」の原題はBattle of the Bastardsであり、神回として知られています。
whack
動詞として「~を強く打つ」という意味ですが、特にマフィアの世界などでは「~を殺す」という意味で使われます。同様に、snuffは本来「~を鼻から吸い込む、かぐ」という意味ですが、「~を殺す」という意味もあります。スナッフフィルムとは、娯楽目的で実際の殺人を撮影したビデオのことです。
coke
cokeには、皆さんお馴染みのコカ・コーラの意味もありますが「コカイン」という意味もあります。コカインの中でも、より精製された「クラック・コカイン」はcrackと呼ばれます。他にも、snow、bump、dust、flake、sneeze、speedball、sniff、candy、ruggetsなどなど、多くの隠語が存在します。
使用例
海外ドラマ『スノーフォール』は、1980年代のロサンゼルスで起こったクラックブームを題材にした作品。
meth
これは、主にドラマ『ブレイキング・バッド』でお馴染みの「メタンフェタミン」すなわち「覚せい剤」のことです。他に、crystal methやspeedと呼ばれることもあります。
weed
一般には「雑草」を意味しますが、「大麻」またの名を「マリファナ」のことでもあります。「大麻」は正式には、cannabisという単語が使われます。喫煙するために紙で大麻を巻いたものは、joint、doobie、spliff(主にイギリス)と呼ばれます。
使用例
海外ドラマ『Weeds~ママの秘密』は、大麻の密売人になった母親の物語。
まとめ
ここで紹介した英単語は、覚えたところで実生活で使用することはまずないでしょうが、アメリカやイギリスの映画・ドラマを楽しむのには役に立つかもしれません。くれぐれもそれ以外の用途には使わないように。
おしまい