ノルウェー出身のシンガーAURORA(オーロラ)とSigrid(シグリッド)の話

 今日は、2人のノルウェーの歌手の話をしたい。AURORA(オーロラ)とSigrid(シグリッド)だ。おそらく世界的にも日本国内でもAURORAの方が有名だが、Sigridもイギリスを中心に世界中で人気がある。

 

 簡単にプロフィールを紹介しておこう。AURORAは、1996年にノルウェーの田舎町オスで生まれた。16歳のときに、友人がネットにアップした自分の歌が注目され、17歳でレコード会社と契約しファースト・アルバムを発表。2019年には、映画『アナと雪の女王2』のサウンドトラックにも参加した。

 

 Sigridは、同じく1996年にノルウェーのオースレンという小さな町で生まれた。ミュージシャンだった兄に勧められて自分の曲を書くようになり、兄のステージなどで歌うようになった。姉がその曲をレコーディングしてラジオ音楽番組に送ったところ注目を集め、17歳頃にはデビューアルバムを発表した。2017年には、ハリウッド映画『ジャスティス・リーグ』のテーマ曲を歌っている。2018年には、BBC Sound of 2018で1位に選ばれ、最も注目される新人アーティストの一人になった。

 

 ともにノルウェー出身で同い年のAURORAとSigridのキャリアには、いくつか共通点がある。2人はともにノルウェーのPetroleumというレコード会社と契約しており、キャリアのかなり初期から知り合いだったと語っている。2人は今でも良い友人同士である。

 

 こうやって書いてみると、AURORAとSigridはそっくりであるかのように思えてくる。しかし、実際には正反対だ。音楽から普段のスタイルまでとことん違う。

 

 AURORAは、自然、大地を感じさせる。現代社会らしさは全くない。大自然の中で育まれた音楽だ。AURORAが子供の頃にオオカミのよって育てられたと言われても信じるだろう。

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 Sigridは、実はイケアのコーディネーターだと言われても驚きはしない。音楽は、ポップらしいポップ。”ポップ”という単語の響きから想像できるような純粋なポップだ。

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AURORAの特徴

  • ポップ、フォーク
  • 自然派
  • 民族衣装風
  • 歌詞に政治的・社会的メッセージを込めることも
  • 性格は天然?

 

Sigridの特徴

  • ポップ
  • 都会派
  • ジーンズとTシャツ
  • 器用にSNSを使う
  • 政治的発言はほとんどしない

 

 AURORAの性格が天然だというのは、彼女のインタビューでの様子から察せられる。例えば、あるインタビューでAURORAはこんな話をしていた。「この前、ネコのエサやり用のボウルが素敵だったから買ってきたの。ネコは飼ってないんだけど」

 

 2人の音楽は、ともにポップというジャンルに括ることはできるかもしれないが、聞いてみれば違いは歴然としている。AURORAの音楽は、フォークも入っているのか知らないが、民族音楽の要素もあると思う。Sigridの音楽は徹底してポップで、思わず踊り出したくなるようなリズムの良さがある。

 

 歌詞の内容も対照的だ。AURORAは、大自然のことを歌い、若干の寂しさを覗かせることが多い。悲しみの中でも精神的な力強さとでも言おうか。そんなものを感じる。Sigridの曲に悲しさを感じることは少ない。実は歌詞の中では、現実の不条理さを歌っていることもある。しかし、曲自体はすべてとても明るい。一貫して「ありのままの自分を受け入れること」を一つのテーマとしているのも特徴的だ。

 

 出自が似ているにも関わらず、AURORAとSigridがコラボしたりすることがないのは、以上のことを鑑みれば当然だと思う。2人は、一度だけTikTokのライブで共演したことはある。仲は良いのかもしれないが、この2人の波長が微妙に合っていないのが微笑ましい。Sigridの方がSNSが上手い、というかAURORAが現代人なのにスマホの使い方がぎこちないので、映像だけでも違いが伝わってくる。

 

↓ 以下の動画の20分頃からAURORAが登場

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 結局、何が言いたかったのか。ノルウェーには、タイプは違うが、ともに素晴らしい才能を持った歌姫がいるということだ。この2人が楽曲でコラボをすることはないと思う。あまりにも方向性が違いすぎるから。それで良いと思う。どっちにしろ、自分は2人を応援し続ける。

 

 Sigridの2ndアルバム『HOW TO LET GO』が2022年5月にリリースされた。興味を持たれた方はぜひ。

 

おしまい