TIME誌が選ぶ世界で最も影響力のある100人【2022年版】から世界のエンタメのトレンドを読む

 5月23日に毎年恒例のアメリカTIME誌による「世界で最も影響力のある100人」、通称「タイム100」が発表されました。世界で最も影響力があるという割に、日本人には馴染みがない人が多いこのリスト。それはそれで良いのですが、この記事では、自分の分かる人を何人か解説したいと思います。

 

 政治や経済方面のことはさっぱりですが、映画・ドラマなどエンタメ系の人はそこそこわかるので、そのあたりを中心に触れていきます。このリストを見れば、今の世界のエンタメのトレンドがわかってくるかもしれません。とりあえず一覧で100人全員の名前は書いておくので、政経・スポーツ方面がわかる人はそこから読み取ってください。

 

 なお、今年のタイム100は「アーティスト」「イノベーター」「タイタン」「リーダー」「パイオニア」「アイコン」の6部門にわかれています。部門ごとに選ばれた人々の名前を列挙した後、解説できるものを簡単に解説していきます。

参照記事:TIME100: The Most Influential People of 2022 | TIME

 

 

 

アーティスト

ジム・リウ 映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

アンドリュー・ガーフィールド 映画『Tick, tick...BOOM!: チック・チック…ブーン!』

ゾーイ・クラヴィッツ 映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』

サラ・ジェシカ・パーカー ドラマ『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』

アマンダ・サイフリッド ドラマ『ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女』

クインタ・ブランソン ドラマ『アボット・エレメンタリー』

ピート・デヴィッドソン コント番組『サタデー・ナイト・ライブ』

チャニング・テイタム 俳優

ネイサン・チェン フィギュアスケート選手

ミラ・クニス 女優

ジェレミー・ストロング ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』

フェイス・リングゴールド 画家

アリアナ・デボース 映画『ウエスト・サイド・ストーリー』

ジャズミン・サリヴァン 歌手

マイケル・R・ジャクソン 劇作家

 

 まずは、アーティスト部門の15人。トップに挙げられたのが、アジア系俳優として初めてマーベル映画の主演となったシム・リウゾーイ・クラヴィッツは、ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』に出ていた頃から十分知名度があった気がしますが、今回『ザ・バットマン』でキャットウーマンを演じたことから選ばれたということでしょうか。

 

 アリアナ・デボースは、映画『ウエスト・サイド・ストーリー』でアカデミー賞助演女優賞を獲得。クィアを公表している黒人女性としては初めての受賞でした。

 

 大ヒット作『セックス・アンド・ザ・シティ』で知られるサラ・ジェシカ・パーカーは、その続編となる『AND JUST LIKE THAT…』(U-NEXTで独占配信中)が2021年末に公開されたことで選出。50代になった主人公3人組の物語が共感を呼んでいます。

 

 クインタ・ブランソンが製作・主演を務めるドラマ『アボット・エレメンタリー』(Disney+で配信中)は、久々に高評価を受けた米ABC製作のシットコムです。ジェレミー・ストロングは、エミー賞受賞ドラマ『メディア王』(U-NEXTで独占配信中)に主演して選出。彼は、演じる役に完全に入り込む「メソッド演技法」を用いていますが、この方法は素晴らしい演技を引き出すこともある一方、演者への精神的負担も大きく、その功罪について議論になりました。

 

 アマンダ・サイフリッドは、製薬会社の詐欺事件の実話に基づくドラマ『ドロップアウト』(Disney+で配信中)で主演したことで選ばれたのでしょうか。そんなに話題になっているとは知りませんでした。アンドリュー・ガーフィールドは『アメイジング・スパイダーマン』の頃からとっくに有名ですかね。

 

 チャニング・テイタムミラ・クニスがなぜ選ばれたのかはわかりません。2人は、2015年公開のSF映画『ジュピター』で共演していますが、そのことは全く関係ないでしょう。ピート・デヴィッドソンは、コント番組『サタデー・ナイト・ライブ』にレギュラー出演している人気コメディアンですが、最近はキム・カーダシアンと付き合っているとかで何かと話題です。

 

 自分だったら、この人たちに加えて映画『コーダ あいのうた』でアカデミー助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーも選びたいです。聴覚障がいを持つ俳優の受賞は初めてではない(同映画にも出演したマーリー・マトリンが1986年に受賞)のですが、勇気づけられた人も多いのではないでしょうか。また『コーダ』のヒットのおかげで、実際に手話を習う人も増えたそうです。社会的な影響力は小さくなかったと思います。

 

イノベーター

ゼンデイヤ ドラマ『ユーフォリア』

タイカ・ワイティティ 映画監督

ミランダ・ランバート 歌手

Derrick Palmer & Chris Smalls

ジョシュ・ウォードル Wordle製作者

ミシェル・ザウナー バンド「ジャパニーズ・ブレックファスト」

Demna ファッションデザイナー

Timnit Gebru

Mike Cannon-Brookes

Bela Bajaria

Sevgil Musaieva

Francis Kere

David Velez

Michael Schatz, Karen Miga, Evan Eichler, and Adam Phillippy

 

 イノベーターのトップに挙げられたのが女優のゼンデイヤ。マーベル映画『スパイダーマン』シリーズでMJを演じており、HBOの青春ドラマ『ユーフォリア』ではエミー賞主演女優賞を受賞して近年非常に注目されています。特に『ユーフォリア』は、2022年始め頃にシーズン2が放送され、若者を中心に大きな話題になりました。一種の社会現象レベルです。

 

 タイカ・ワイティティは、映画『ジョジョ・ラビット』や『マイティ・ソー』の監督として知られていますが、今年選出されたということはドラマ『Reservation Dogs』を作ったからですかね。このドラマは、ネイティブアメリカンの若者たちを描き、絶賛されました。日本上陸は未定です。

 

 日本とは特に関係ありませんが、韓国系アメリカ人のミシェル・ザウナーが率いるバンド「ジャパニーズ・ブレックファスト」は最近少し話題になっています。2022年に入ってから爆発的な人気を集めたワードゲーム「Wordle」の製作者ジョシュ・ウォードルも選出されています。やったことがない人はやってみてください。ログインも何もいらないので、以下のリンクから簡単にやってみることができます。

リンク:Wordle - The New York Times

 

タイタン

ティム・クック Apple CEO

オプラ・ウィンフリー 司会者

クリスティーヌ・ラガルド

ミシェル・ヨー 女優

Gautam Adani

クリス・ジェンナー セレブ

アンディ・ジャシー Amazon CEO

サリー・ルーニー 小説『ふつうの人々』

ファン・ドンヒョク ドラマ『イカゲーム』クリエイター

Sam Bankma-Fried

Megan Rapinoe, Becky Sauerbrunn, and Alex Morgan

エリザベス・アレクサンダー

David Zaslav

 

 TITANS、巨人たち。面白いカテゴリーですね。オプラ・ウィンフリーは、毎回選ばれてそうな気がします。オプラが番組で紹介した本はすぐに爆売れするというのは有名な話です。女優のミシェル・ヨーは、ご存知の人も多いんじゃないでしょうか。『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』『グリーン・デスティニー』などなど。今回選ばれたのは、最初に紹介したシム・リウと同じくマーベル映画『シャン・チー』への出演があったからでしょう。

 

 アイルランドの作家サリー・ルーニーは、小説『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』『ふつうの人々』でとても話題になっているそうです。後者はサリー・ルーニー自身の脚本によってドラマ化(STARZPLAYで配信中)され、高い評価を受けました。

 

 昨年、世界的に大きな話題となったNetflixドラマ『イカゲーム』のクリエイターも選ばれました。韓国ドラマが面白いというのは日本ではとっくに知られていたことですが、世界的には『イカゲーム』で韓国ドラマを初めて知った人も多いのではないでしょうか。今年に入ってからApple TV+で配信された韓国ドラマ『パチンコ』も絶賛されており、今の韓国ドラマは世界的にも絶好調です。

 

リーダー

Mia Mottley

ウォロディミル・ゼレンスキー ウクライナ大統領

Ketanji Brown Jackson

ジョー・ローガン

習近平 中国国家主席

Ursula Von der Leyen

Ron Desantis

ジョー・バイデン アメリカ大統領

尹 錫悦 韓国大統領

ウラジーミル・プーチン ロシア大統領

オーラフ・ショルツ ドイツ首相

サミア・スルフ・ハッサン タンザニア大統領

ケビン・マッカーシー アメリカ下院議員

Karuna Nundy

アビィ・アハメド エチオピア大統領

クリステン・シネマ アメリカ上院議員

ガブリエル・ボリッチ チリ大統領

レティーシャ・ジェームズ

Valeriy Zaluzhnyy

Lynn Fitch

Umar ata Bandial

孫春蘭

 

 ここは政治家の話です。こういうのは、政治が得意な人々に任せておきましょう。一つ言っておくなら、ウクライナのゼレンスキー大統領は、以前は俳優として活動していました。彼が大統領役を演じたコメディドラマ『国民の僕』は、現在Netflixで配信中です。

 

アイコン

メアリー・J・ブライジ 歌手

ドミトリー・ムラトフ ジャーナリスト

イッサ・レイ ドラマ『インセキュア』

キアヌ・リーヴス 俳優

アデル 歌手

ラファエル・ナダル テニス選手

Maya Lin

ジョン・バティステ 音楽家

Nadine Smith

Peng Shuai

Hoda Khamosh

 

 2021年にファイナルシーズンが放送されたHBOドラマ『インセキュア』で主演と脚本を務めたイッサ・レイが選ばれています。シーズン1を観たことがあるのですが、基本はアラサー女子のラブコメなのですが、日常的な場面での人種問題を皮肉るようなところもあって、なかなか面白かったです。

 

 キアヌ・リーヴスは、聖人だから選ばれたということで良いですかね。世界的な有名人であるにも関わらず、普段から慈善活動を行い、撮影スタッフなど身の回りの人のことをよく気にかけているなど、良い人エピソードには事欠きません。

 

 ジョン・バティステは、今年のグラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞。ディズニー映画『ソウルフル・ワールド』の劇中歌も担当しました。アデルは、昨年、久々に新作アルバム『30』をリリースしました。

 

パイオニア

キャンデース・パーカー バスケ選手

フランシス・ホーゲン Facebookを内部告発

Ahmir "Questlove" Thompson

Sonia Guajajara

Stephane Bancel モデルナCEO

Emily Oster

Velerie Masson-Delmotte and Panmao Zhai

谷愛凌 スキー選手

Tulio De Oliveira and Sikhulile Moyo

Nan Goldin

Mazen Darwish and Anwar Al Bunni

Emmett Schelling

Cristina Villarreal Velasquez and Ana Cristina Gonzalez Velez

Gregory L. Robinson

 

 ここらへんは全然わかりません。ちょっと馴染みがあるのはQuestloveぐらいで、彼はトーク番組『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』で音楽を担当しています。先ほど紹介したジョン・バティステもトーク番組『The Late Show with Stephen Colbert』で音楽をやっています。アメリカの夜のトーク番組は、大抵の場合、専属のバンドがいて生演奏をしているのですが、結構影響力もあるんですね。

 

まとめ

 以上、2022年版の「世界で最も影響力のある100人」の中でも、特にエンタメ方面の人々を簡単に解説していきました。日本人がいないのはそりゃそうだなと思うのでどうでも良いのですが、注目すべきは韓国の影響力です。ここ数年BTSは世界的にも高い人気があり、2019年には映画『パラサイト 半地下の家族』が世界の賞レースを席巻し、2021年にはドラマ『イカゲーム』が社会現象になりました。その勢いは世界一です。

 

 ハリウッドに限定するなら、今回触れた作品の中で最も勢いがあるのはドラマ『ユーフォリア』だと言って良いと思います。ドラッグに溺れる若者の過激な青春を描いた『ユーフォリア』は、Z世代の心をわしづかみにしています。本作でブレイクしたハンター・シェイファーは、トランスジェンダーの女優としてLGBTQ+の権利向上を目指す活動も積極的に行っており、支持を集めています。

 

 幸いにも、ここでタイトルを挙げた映画・ドラマのほとんどは、現在、日本でも視聴することができます。海外で話題になっている作品が日本でもすぐに観られるというのはストリーミング時代の利点なので、興味があればぜひ観てみてください。

参照記事:TIME100: The Most Influential People of 2022 | TIME

 

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