Chapter 6:建設的批判であれ/Critic Constructively

 自分は、海外ドラマや映画のファンで、特に海外ドラマがメインのブログをやったり、SNSで感想を書いたりしています。すべての作品を面白いと思えれば良いのですが、必ずしもそうはいきません。中には、ハズレだったなぁと思う作品にも出会うことがあります。そういったときには、批判的な感想を書くことになるのですが、このときに私自身が気を付けていることがあります。

 

 それは、「建設的な批判であれ」というものです。ここから書くことは、もしかしたら当たり前なのかもしれませんが、自分の思考を整理するという意味でも、書いていきたいと思います。自分が考える「建設的批判」は、2つのプロセスに分かれています。

 

 まず、なぜ自分がその作品に対して否定的な感想を持っているのか、具体的に理由を述べることです。理由のない批判は、クレームみたいなものです。クレームだって自分の中で思っている分には何の問題もないのですが、人のクレームを聞きたいとは思わないでしょう。多少なりとも人が読むことを想定しているならば、理由を具体的に示さなければいけません。

 

 理由を示すのは基本ではあるのですが、意外と難しいことでもあります。大体において、つまらないと思った作品は、ただ漠然とつまらないと思っています。でも、その理由を知るには、作品を振り返る必要があります。振り返ってみると「あれは良かったな」というところが見つかり、むしろ肯定的な感想を持つようになるかもしれません。それならそれで良いですし、そうでなくとも、理由が見つかれば良いのです。

 

 次に、どのようにすれば良かったかを、現実的な範囲で述べるということです。こうでなくては、建設的とは言えません。逆に、改善案が全く思いつかないのであれば、強く批判をすることが出来ません。より良い案がないのであれば、現状の作品は最善のものになるのですから。

 

 「現実的」というのは、それほど深い意味ではありません。現実的でない改善案としては、例えば(そう思っている人がいるかどうかは知りませんが)『スター・ウォーズ エピソードⅨ』にレイア姫の出演場面がもっとあって欲しかったというものです。これは、キャリー・フィッシャーが既に亡くなってしまったこととVFXで彼女を甦らせることの功罪を考えれば、現実的とは言えないでしょう。たとえ、レイアの出演場面が増えた方が良いと思っていても、それは願望に過ぎず、この点については作品を批判することはできません。

 

 具体例を考えてみましょう。

 

 自分が、ブログの「海外ドラマパンチ」で最も強く批判をしたのは、2020年に公開されたAmazonオリジナルドラマ『ユートピア』です。この記事では、否定的な感想を持った理由を「不必要なバイオレンス」だとしています。改善案は具体的には書いていませんが、不必要であると述べているので、取り除けば良いだけだというのは容易に推察することが出来るでしょう。

記事:Amazonドラマ『ユートピア~悪のウイルス~』シーズン1感想-Where is Utopia?- - 海外ドラマパンチ

 

 逆に、このルールを適用しているがために、強い批判が出来なかったこともあります。それが、『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章について述べているときです。否定的な感想を持ったいくつかの部分は示していますが、根本的な改善案を示すことが出来ないので、強い批判が出来ません。より良い案を出せない以上、どのような不満があったとしても、現状の最終章はベストなのです。

記事:『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章について(ネタバレあり)~GoTにしか出来ない背負い投げ~ - 海外ドラマパンチ

 

 以上が、自分が何かを批判するときに気を付けている事柄です。あくまでも自分が実践しているだけであって、他の人にこうしてほしいとは全く思っていません。人それぞれで良いんです。

 

 今回は作品批判に絞って話をしましたが、それ以外についても同様に考えたいと思っています。具体的に何が悪いのかを指摘し、改善案を挙げる。それでこそ、批判は成立するのでしょう。と、少なくとも自分は思っています。

 

 おしまい。